アジャイル型開発と契約方式
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アジャイル型開発のようなシステム開発の場合でも、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」が適用されますか。また、アジャイル型開発においては、発注者との間の契約が請負契約ではなく、準委任契約となる場合がありますが、契約の違いにより同基準の適用に違いが生じますか。
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労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うこと(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」といいます。)第2条第1号及び第3号)をいい、一方、請負とは、労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの(民法 632 条)であり、労働者派遣との違いは、請負には、発注者と受注者側の労働者との間に指揮命令関係を生じないという点にあります(※1)。
この点において、委任(民法 643 条)、準委任(民法 656 条)も同様であり、アジャイル型開発(※2)が準委任契約を締結して行われる場合でも、実態として、発注者と受注者側の労働者との間に指揮命令関係がある場合には、その契約の形式を問わず、労働者派遣事業に該当し、労働者派遣法の適用を受けます。
したがって、アジャイル型開発のようなシステム開発の場合でも、労働者派遣と請負等(委任、準委任を含みます。以下同じ。)のいずれに該当するかについては、契約形式ではなく、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和 61 年労働省告示第 37 号)に基づき、実態に即して判断されるものです。
※1 発注者と受注者との間において請負契約等の形式をとりながら、実態として発注者が受注者の雇用する労働者に対して直接具体的な指揮命令をして作業を行わせているような場合をいわゆる偽装請負といい、労働者派遣法に違反するものとなります。
※2 アジャイル型開発とは、一般に、開発要件の全体を固めることなく開発に着手し、市場の評価や環境変化を反映して開発途中でも要件の追加や変更を可能とするシステム開発の手法であり、短期間で開発とリリースを繰り返しながら機能を追加してシステムを作り上げていくもので、発注者側の開発責任者(プロダクトオーナー等。以下同じ。)と発注者側及び受注者側の開発担当者(再委託先の開発担当者を含みます。以下同じ。 ) が対等な関係の下でそれぞれの役割・専門性に基づき協働し、情報の共有や助言・提案等を行いながら個々の開発担当者が開発手法や一定の期間内における開発の順序等について自律的に判断し、開発業務を進めることを特徴とするものです。