発注者側の開発責任者と受注者側の開発担当者間のコミュニケーション
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アジャイル型開発においては、発注者側の開発責任者はプロダクトバックログ(開発対象に係る機能等の要求事項の一覧)の内容やその優先順位の決定を行い、開発手法やスプリント(開発業務を実施するための一定の区切られた期間)内における開発の順序等については開発担当者がその専門的な知見を活かして自律的に判断し開発業務を進めるのが通常ですが、その際、発注者側の開発責任者から、受注者側の開発担当者に対し、直接、プロダクトバックログの詳細の説明や、開発担当者の開発業務を円滑に進めるための情報提供を行うと偽装請負と判断されますか。
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アジャイル型開発において、実態として、発注者側と受注者側の開発関係者が対等な関係の下で協働し、受注者側の開発担当者が自律的に判断して開発業務を行っていると認められる場合であれば、偽装請負と判断されるものではありません。
そのため、両者が対等な関係の下で協働し、受注者側の開発担当者が自律的に開発業務を進めている限りにおいては、そのプロセスにおいて、発注者側の開発責任者が受注者側の開発担当者に対し、その開発業務の前提となるプロダクトバックログの内容についての詳細の説明や、開発業務に必要な開発の要件を明確にするための情報提供を行ったからといって、それだけをもって直ちに偽装請負と判断されるわけではありません。
他方で、発注者側の開発責任者による受注者側の開発担当者に対する説明や情報提供が、実態として、受注者側の開発担当者に対する業務の遂行方法や労働時間等に関する指示などの指揮命令と認められるような場合には、偽装請負と判断されることになります。